(1)ファウストー1

 『ファウスト』といえば、ゲーテの代表作で、誰でも題名は知っていることと思います。とはいえ、日本では、世界文学の有名な作品、というぐらいで、実はちゃんと読んだ人はあまりいないのでは・・・・? ストーリーも、たぶん、グレートヘンの出てくる分かりやすいラブストーリーの第一部のさわりぐらい知っていれば、かなりないわゆる教養のある人?ということになりそうです。

 実際のところ、ファウスト伝説というのがヨーロッパには中世の昔からあって、ドイツでは民衆劇や人形芝居などで大衆の生活に根付いていたようです。日本でいえば、能や歌舞伎で取り上げられるストーリーやヒーローのようにポピュラーなキャラクターで、ファウスト博士とドン・ファンは、名前を聞けば誰でも知っているような伝説の人物ということ。

 ファウスト博士は、ちょっと乱暴に言ってしまえば、まあ、マッド・サイエンティストの元祖みたいなものですね。あれ?違うか・・・えーと、要するに、ルネッサンス時代まで、いわゆる近代科学が誕生する以前には、科学というのは魔術とほとんど同一のものだったのですね。魔術師、というよりも、錬金術師というのがいて、そういった怪しげな山師すれすれ、じゃなくてそのものの人たちのうちから、近代の科学や科学者が産まれてきた、という歴史があるのです。

 などという蘊蓄はどうでもいいし、あまりにおおざっぱな話ですので適当に読み流して下さい。ともあれ、ファウスト博士という人が悪魔と契約し、自分の魂と引き換えに若さを得て幸福を追求する、というのがベースのストーリー。民衆劇や伝説においては、ファウストは最後は悪魔に負けるパターンであるようですが、ゲーテの劇ではラストシーンで救済され天国に昇ることになっています。



            

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