(1)ターミネーター1

 格闘技ファンのある画家の男友達から、「アーノルド・シュワルツェネッガーというものすごい俳優がいる」と家人が聞いたのは、80年代も半ばごろのこと。その友人はスタン・ハンセンとかアンドレ・ザ・ジャイアントなど、肉体派のプロレスラーが大好きで、その流れでハリウッド映画界ではシュワルツェネッガー、ルトガー・ハウアーあたりの偉丈夫を見い出したようです。

 何よりもまず、そのいかにもドイツ系らしい重厚な名前の響きがそれだけで凄い感じをひきたたせています。「アーノルド・シュワルツェネッガー」だなんて、舌をかみそうですぐには覚えられないし、たとえばまず可愛い路線のジャニーズ系にはとてもつけられない名前であることは確かです。全く軽々しい感じがせず、ひたすら鈍重なぐらいに重たいところがまた笑えるほどに楽しい。

 彼が紹介してくれた映画が「ターミネーター」でした。確かにこれはすごい! と、ひたすら感心。近未来において、機械が人間から独立してお互いに戦うようになり、機械たちが優勢になるが、人間の中にカリスマ的指導者・ジョン・コナーという男性が現れる。機械たちは一計を案じて、このジョンが生まれる前の過去に遡って、彼の母親を抹殺することで彼の存在自体を消し去ろうとする。ジョンの母親・サラ・コナーを抹殺するため、タイムマシンによって現代のアメリカに送られてきたのが殺人機械(ターミネーター)である機械人間(広い意味でのサイボーグ)、という設定。

 この殺人機械を演じたシュワルツェネッガーの身震いするほどのはまりきった演技、存在感には圧倒されて、そのボディビルで鍛えあげられた完璧な肉体を見せるだけで、ストーリー全体に説得力を持たせてしまったところは大変なものだとただただ感じ入りました。

(2)ターミネーター2

 シュワルツェネッガーはもともとオーストリア人で、ボディビルダーとしても有名な人だったようですが、あそこまで完璧に作られた筋肉、肉体となると、既に人間離れした感じがしてきます。いかにもゲルマン系の重厚な体格、ドイツなまりのごつごつした英語が、まさしく機械的で、鋼鉄でできたような硬い機械人間の存在感を実にリアリティあるものとしていました。

 行動もどこか愚直で硬直していて、あらかじめ組み込まれたコマンド=目的の人物を抹殺する、という原則を人間的感情抜きでひたすら果たしていく様子が、恐ろしくもまさしく機械らしい動きでした。機械だから、プログラムされた目的を果たすまでは完全に壊れてしまうまでやめない、自ら故障も修理して何度でも復元し追い掛けてくる、という冷酷さなどという人間的な表現を通り越した怖さは、しまいに他にどうしようもなく笑いが出てきてしまうほど・・・・

 リンダ・ハミルトン演じる、ジョンの未来の母親である平凡な女子学生・サラ・コナーは、ごく普通の日常からいきなり殺人機械に追われるという極限状況に追い込まれますが、黒いサングラスにレザーコートといった黒ずくめのファッションのターミネーター・シュワルツェネッガーの執拗で徹底的な追跡の姿は、どこか背筋が寒くなるほどにセンシュアルな感じもしてくるところが不思議です。下手に義理人情だのなんだのといった、いささかの人間的感情も交えず、ひたすらに冷たく酷薄な殺人機械に徹するところは、いっそ半端でなく爽快感さえあって・・・・



 



            

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